今回は、私の備忘録としてNHK BSで放送されている『ヒューマニエンス』から、要点などを書き出しました。元は2023年6月6日放送 『鉄 天地創造のテツ学』です。
NHK番組は以前は、要約がもうちょっと詳しくホームページに載っていたように思うのですけど、それがないので残念です。
まずこの日のゲスト
・京都大学大学院医学研究科教授 岩井一宏さん 〜鉄代謝に詳しい
・東京大学大学院 王学研究科教授 宮本英昭さん 〜惑星科学の専門家・鉄が生まれた経緯に腐しい
▶︎ビデオの中でコメント
・石川県立大学 生命資源工学研究所 教授 小林高範さん 〜鉄の循環に詳しい
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この番組は、人体に関する科学の番組ですが、今回は惑星の成り立ちからドーンときました。私が選んだ今回のポイント3つ
①地球の重量の1/3が鉄だったので、生物はこれを生命維持活動に使うことに決めて進化した
②鉄は、熱の発生を抑えてエネルギー産出ができる
③植物の酸のおかげで、動物は鉄を吸収できている。健康な人が鉄分を錠剤で摂るのは危険。40億年かけて作られた鉄の循環システムの中にいることを知る。
⭕️大前提は、『鉄は取り扱い注意物質なので、鉄量が増え過ぎないように身体により、厳重に管理されている』ということ。
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①地球の重量の1/3が鉄だったので、生物はこれを生命維持活動に使うことに決めて進化した。
成人1人が、体内に持てる鉄の量は、釘1本分。3グラム程度。これでやく五リットルの血液を支えている。また人体の約37兆個の細胞のエネルギーを生み出し、遺伝子を作っている。
▶︎鉄は血液に含まれる赤血球の酸素を運ぶ役割に欠かせない『ヘモグロビン』の材料
肺で酸素と結びついたヘモグロビンは、動脈を通って、体の隅々まで行き渡る
その後細胞に到達すると、持っていた酸素を切り離す。静脈を通って再び肺へ。そこで酸素を補充する。
鉄は酸素と簡単に結び付く(実験、2本の試験管に入った血液の、片方にだけ酸素を注入するとミルミル鮮やかな赤色に変色する)
私たちは鉄のお陰で、全身に酸素を行き渡らせ、体を自分に動かせている。
▶︎『ミトコンドリア』内での『エネルギー産生』
『エネルギー産生』での鉄は、温度を上昇させないこと!
細胞の中にあるミトコンドリアは、酸素と糖質などでエネルギーを生み出す器官。
このエネルギーの生産に鉄が必要のなのです。
ミトコンドリアでのエネルギー産生は、まるで燃焼反応。
鉄があることで、ゆっくりを燃やすことができる。
燃える状態だと熱も発生し、細胞を傷つける しかし体内では鉄があるお陰で、ゆっくりを科学変化が起きるため、安全にエネルギーを生み出せる。
岩井:酸素をO2を一気にわたすとバット燃える。しかし鉄は、電子を順番に一個ずつ渡していくことができる。順番に渡していくことで、うまくエネルギーを作ることができる。こう意味でゆっくりと燃やしていくということができている。
私たちの細胞のほとんどは、鉄がないと適正にエネルギーを作り出すことができない。
岩井:体の中で起きている化学変化は、電子の動きでもある。鉄は電子を受け渡す力があるので役に立つ。鉄があることで、熱を出さずにエネルギーをたくさん作ることができる。
栄養 + 酸素 = エネルギー 二酸化炭素など
《脂質・糖質》 ↓Feが電子を一個ずつ移動させる 変換効率を良くする
▶︎DNA作成に不可欠
岩井:リボ核酸からデオキシリボ核酸(DNA)が作られるときに必要な酵素の『活性中心』に鉄がある。デオキシリボ核酸がないとそれを糸状にしてDNAを作ることができない。
⭐️【鉄の誕生】⭐️
恒星の内部では核融合。鉄が大量にできる。
超新星爆発が起きると、大量にできた鉄が宇宙に大放出。
それが星になる。地球もそうして出来た。
地球の1/3鉄。重量。雨が降ると、地表の鉄が溶ける。鉄の多い熱水で生命が誕生。DNAの誕生。ほとほどたくさんある。
地球上のどこに行っても利用可能。
物質の受け渡しに便利な鉄。それを生命活動に使うことにした。鉄を選んだ。
地球の表面は土。
マントル、外核、内核。個体の鉄と、液体の鉄。真ん中は固体の鉄。地震波でわかる。
外核で鉄が対流。磁石になる。北極、南極。
磁場ができる。太陽風(水素の風)。磁場がないと太陽風で、大気が吹き飛ばされ消滅。そんなことになれば、大気を必要とする私たちは生存不可能!
磁場の証となるのがオーロラ。
大気がない火星。火星には磁場がない。⇨地球のように鉄が豊富に無い?
太陽に鉄はない・・・・今の核融合の段階は、水素やヘリウムなどで鉄にまで辿り着いてない。
太陽の8倍以上の質量の構成で何度も核融合が起き、核融合の内容が変化していって鉄が生まれる。
②鉄は、熱の発生を抑えてエネルギー産出ができるけれども・・
岩井:鉄が増えすぎると、色んな物質を酸化して、体の細胞や機能が悪くなっていく。私たちの体の大事な分子を酸化する。それが毒性になるので、肝臓の機能が悪くなったり、糖尿病が起きた李、肝硬変が起きたりする。
鉄が多すぎると酸化ストレスが高まる。細胞を傷つけて病の原因となり、老化を加速させることがわかっている。
鉄は、体のいろいろな部署で、酸化を起こす。そのため、私たちの体は鉄を『必要最小限』持つようにしている。ぎりぎりの量しかモテないため、すぐに鉄不足を起こすのだ。
岩井:細胞の電子顕微鏡写真です。ここに鉄が4,000原子入ってる。この鉄の原子は、特別なタンパク質で包まれているという。
フェリチンの画像(X線結晶構造解析映像) ※お見せできなくてごめんなさい!
岩井:フェリチンというのは、1つ1つが小さいタンパク質。それが集まって殻を作る。
そのからの中に、鉄を入れ込んでいる。フェリチンの中に入れておくと電子の受け渡しをしない。鉄があっても毒性を発揮しない。
フェリチンの中に鉄を閉じ込め、必要なときに必要なだけ取り出して使う!やばい鉄に暴れられたら困るので。
鉄は、役立つようなタイミングで電子を渡してくれる。鉄がありすぎると細胞の膜が壊される。
そうならないように『フェリチン』が守ってくれている。
肝臓にはフェリチン。他にも鉄を有する酵素が多数存在する。
③植物の酸のおかげで、動物は鉄を吸収できている。健康な人が鉄分を錠剤で摂るのは危険。40億年かけて作られた鉄の循環システムの中にいることを知る。
《鉄の循環》
ある生物のおかげで採り入れられている。
石川県立大学 生命資源工学研究所 教授 小林高範さん
小林:人間やどうぶっつが鉄を確保するときには、植物からとっている例外としては、魚介類や海藻。海のもの以外は、陸上の植物から鉄を獲得している。植物を通して鉄を入手している。
▶︎40億年かけて作られた鉄の循環システム
40億年前、海水に豊富に溶け込んでいる鉄を使うことに決めた。ところが10億年が過ぎたころ、大事件が起こる。シアノバクテリアが登場。それまでなかった酸素を、光合成によって生み出す生物。
⇨酸素02と 鉄が結びつくことになった酸化鉄が出来た Fe2O3 酸化鉄となり、海の底に沈んでいった。
生命は固体の酸化鉄を体内に取り込むことができない。液体に溶けてる鉄でないと取り込めない
⇨次第に鉄不足になっていった。
海の中で生物が進化していくが、鉄不足だった可能性があり、それが進化の足枷になっていたかもしれない。
宮本:一つの制約が、鉄の量だったかも。一度誕生したら、どんどん増殖していきたくても、どこかで限界に達する。海水に溶けた鉄を奪い合っていたことはなんとなく想像できる。
4億年くらいまえになると地球の状態が安定し、動物は海から陸地に進出できるようになった。陸地では、海底が隆起することで、酸化鉄が剥き出しんいなっており、それが散らばることで土となる。土壌に豊富に含まれる鉄。生物にとって、とても欲しい物質。しかし Fe2O3酸化鉄は固体なので、吸収できなかった。
そこに登場!植物!
植物も生きるために鉄が必要。葉緑素の形成につが欠かせない。鉄がづ速したイネは葉が黄色くなり、育っていけない。
植物が独自の進化を見せる ・・・
小林:稲科の植物は鉄を溶かすための特別な物質を作る。『ムギネ酸』類。土の中の酸化鉄が、ムギネ酸と反応して溶けるようになる。稲科植物は、溶けた鉄を吸収する。
植物の進化:ムギネ酸が効率的に鉄を溶かし採り入れた
動物に先んじて、上陸した植物は鉄を酸化して溶かすことに成功!あとから来た動物がそれを食べることで、地上にあった鉄を体内に採り入れられた!!
植物から鉄を取り入れることに成功した動物は、巨大化して進化を加速。食物連鎖により、鉄を循環させていく。
今回は壮大な『鉄』のお話でした。
結局、人体に必要な鉄の量は?鉄を吸収を制限する『ヘプシジン』?番組にも出てきたこの辺りの話題は、またどこかで。